リバースモーゲージの問題点

先進国では高齢化が問題となっており、日本も例外ではありません。定年を終え、心配になるのは老後の生活費。不安を解消するために、「リバースモーゲージ」という制度を選ぶ方も出てきています。今回は、リバースモーゲージという制度についてお話ししたいと思います。
 

リバースモーゲージとは?

「高齢者の自宅を担保にお金を借りて、返済については亡くなった後に一括で行う」という制度です。
通常、お金を金融機関から借りる時は、回収不能にならないために同価値程度のモノを担保にして、毎月借りた分を返済するのが一般的です。しかし、一方のリバースモーゲージは、お金を借り続けるのみで、基本的には毎月返済していくということは必要ありません。リバースモーゲージには、「定期的に返済を行わずともお金を借りることが可能」「お金を借りた高齢者の方は死後に自身の持ち家を売られた金額で回収のお金に充当する」という特徴があります。
 
IMARI20160806062011_TP_V
 

リバースモーゲージのメリットとは?

この制度には、大きく2つのメリットが挙げられます。

・高齢者が長年住んだ思い入れのある家に住むことができる。
・定年後の収入が少なくなる中で、返済不要な収入源ができる。

以上の2点です。毎月の収入が少ない方、お金になるようなモノを持っていない方にとっては、生活費を確保する手段として有効ですし、住宅ローンと比べて高齢の方でも利用可能だという点も見逃せません。
 

 

デメリットはないの?

しかし、一見便利なこのリバースモーゲージ制度にもデメリットはあります。

・長生きすると損!?
借りた金額を持ち家で一括返済する制度なので、売る予定の家が「借りた金額以下の価値になってしまう」という事態が起こり得ます。30年などの契約期間がある場合がありますが、この場合に幸運にも長生きをすることができ、契約期間を過ぎてしまった時に返済できなくなってしまうと、お金を回収するために抵当権が実行されます。そうすると家を失ってしまうので、場合によっては期間が「終身」になっています。

・持ち家の価値低下
決められた期間内、契約時の家の価格分を借りることができますが、価値が下がれば融資が減るか、止まってしまう可能性もあります。

・マンションは不利!?
この制度の条件の基準は、マンション住まいの人は厳しく、逆に一軒家住まいの人は緩くなっています。これは日本の不動産での価値は「家」より「土地」が大部分を占めるためです。

・日本の文化に合っていない!?
日本では家族に家を残すという考えを持っている人が多く、家を売ることを家族に理解をしてもらえない可能性は高いです。

生前に家を売るという大きな決断をすることになるので、この制度を利用するかどうかは身近な人と慎重に決めるべきことです。今後、高齢者も亡くなるまで自分自身で生活していく必要がある人が増えていくと、徐々に受容されていくかもしれない制度の1つだと思います。このような制度があるということを覚えておき、実際に利用してみようと思った際は、専門家に相談することも視野に入れておいたほうがいいかもしれません。

住まいのコンサルタント事例紹介

Copyright (c) 2015 - 2016 株式会社住まいのコンサルタント. All Rights Reserved.